パートナーシップ
VitVio、Hospital Español de Veracruzに3D AI手術室を導入

VitVioは、米国と欧州の病院で導入してきた空間AIをラテンアメリカにも広げ、Hospital Español de Veracruzに手術室運営システム「Vetro」を導入する。10月29日に発表された提携により、メキシコにある同病院の全手術室にプラットフォームが導入される。
両社は、この導入を、同規模の3DネイティブAIを用いた手術室運営としてはメキシコ初の事例と説明している。目的は、手術段階の認識、遅延の特定、器具の使用状況の追跡、次の患者を迎える準備の支援を通じて、手術に伴う調整や記録業務を自動化することだ。
同病院への導入は、Grupo Hospital Español傘下の7病院にまたがる最大60室の手術室に展開する可能性がある、より大規模な計画の出発点でもある。この広範な展開は、完了済みの導入ではなく、あくまで計画段階にある。
手術室の空間をリアルタイムにモデル化
Vetroは、複数センサーによる環境センシングとVitVioのSpatial Context Engineを組み合わせ、室内の幾何学的な状態を継続的に更新するモデルを構築する。このモデルには人、機器、活動状況が含まれ、手術環境が時間とともにどう変化するかをソフトウェアが追跡できる。
こうした状況把握は、個々のイベントを検出するだけにとどまらない。手術室の現在の段階によって、次に必要となるチームやリソースは変わる。準備、手術、記録、次の手術に向けた入れ替えは、すべて一連の業務プロセスに含まれる。VitVioによると、同社のエージェントはこの共通理解を活用して業務を調整し、スタッフが進捗を何度も入力しなくても遅延を知らせる。
同社のウェブサイトによると、マーカーレスのキャリブレーションで室内の幾何学的な状態を把握できるほか、Mission Control画面では手術の段階、器械トレー、記録、手術室の入れ替えに関する情報をまとめて確認できる。また、活動状況と音声から手術記録を作成し、外科医が確認して署名する機能についても説明している。これらはプラットフォームの機能に関する説明であり、発表では導入開始時にベラクルスでどの病院システムと接続するのかは明らかにされていない。
臨床上の判断を維持しながら、手術に伴う業務を自動化
実務面で期待されるのは、臨床業務への集中を妨げる事務作業を減らすことだ。手術の各段階を自動で記録すれば、時刻を手作業で入力する負担を軽減できる。手術室の進捗を共有することで、後続チームが準備しやすくなる。使用した器具を追跡すれば、トレーの内容や廃棄物について判断する際の参考になる。
こうした機能が対象とするのは、医療に伴う業務プロセスだ。AIシステムが手術を行う、あるいは臨床医の判断に取って代わることを示すものではない。記録には引き続き臨床上の確認が必要であり、人員配置やスケジュールの変更も病院の業務手順に沿って行わなければならない。
病院CEOのAntonio Ramos De-la Medina医師は、この導入によってチームが患者のケアと安全により多くの時間を割けるようにすることが目的だと述べた。VitVioの共同創業者兼CEOであるThomas Knoxは、最初の話し合いから稼働開始まで3か月未満だったと語った。
発表には、ベラクルスでの導入による測定済みの成果は含まれていない。実際に活用可能な稼働能力が高まるかどうかは、プラットフォームが業務上のイベントをどれだけ確実に認識できるか、また病院のチームがその情報をどう活用するかに左右される。遅延の特定が役立つのは、適切なチームに十分な時間的余裕をもって伝わり、次の対応を変えられる場合だ。
症例と機器を中心に据えたプライバシー設計
手術室で環境センシングを行うとなると、患者データとスタッフのモニタリングの双方が懸念される。VitVioによると、Vetroが出力するのは個人の業務評価ではなく、症例、手術段階、機器に関する情報であり、データは設計上、個人を特定できない形にされる。
同社のウェブサイトでは、顔や個人の識別情報を必要とせず、点群、姿勢、幾何学的情報をもとに推論すると説明している。また、映像の大半は処理後まもなく破棄され、データの保持やアクセスに関する方針は病院が管理するとしている。こうしたシステム設計上の主張は評価にあたって重要だが、発表にはベラクルスの病院における具体的なデータ保持設定や、導入レベルでのプライバシー評価は示されていない。
業務状況を把握することと個人を評価することの違いは、スタッフに受け入れられるうえで特に重要だ。病院には、症例の調整に十分な情報を確保しつつ、アクセスや利用を臨床ガバナンスに沿ったものにする必要がある。
ラテンアメリカ初の提携、今後の拡大にも余地
VitVioは、この契約をラテンアメリカで初の提携と位置づけている。同社によると、ニューヨークのがん専門施設や整形外科センター、英国のNHS病院とも取り組みを進めており、その中にはRoyal Orthopaedic Hospital NHS Foundation Trustも含まれる。英国に関するこの記述は、名前の挙がったNHSの導入先がすべてロンドンにあるという意味ではない。
発表によると、2024年にThomas Knox、Peter Rennert医師、Maks Kozarzewski、Aleks Pajewskiが創業したVitVioは、1,000万ドルを調達している。この中には、2025年10月にBek Venturesが主導した800万ドルのシードラウンドが含まれる。
Hospital Español de Veracruzにとって、最初の検証は運用面にあります。手術室の状況をリアルタイムで把握することで、記録業務の負担を軽減し、手術間の連携を改善できるでしょうか。Grupo Hospital Español全体への拡大が計画どおり進めば、Vetroはその価値をより大きな環境で実証できるようになります。一方、最初の導入によって、この技術が地域の臨床ワークフローにどのように適合するかが明らかになります。












