パートナーシップ
Apartment ListとGrotto AI、賃貸の問い合わせ電話や内見に入居希望者の好みを反映

Apartment ListとGrotto AIは提携し、オンラインでの物件探しで把握した入居希望者の好みを、その後の問い合わせ電話や内見に引き継ぐ。11月3日に発表されたこの連携により、賃貸仲介チームは入居希望者と話す前に、予算、入居希望日、ペットの有無、希望する設備などの情報を得られる。
この取り組みの狙いは、賃貸物件を探す過程で繰り返し生じる断絶をなくすことだ。入居希望者が検索時に希望条件を伝えても、物件チームから電話がかかってくると、同じ説明を一からやり直さなければならない。GrottoはApartment Listが保有する入居希望者の情報を、物件の詳細や募集中の物件情報と組み合わせ、賃貸仲介担当者がより関連性の高い会話や提案を行えるよう支援する。
検索時の希望条件を賃貸仲介の会話につなぐ
この提携は、賃貸物件探しの異なる二つの段階を結び付ける。Apartment Listは希望に合う住まい探しを支援し、Grottoは問い合わせを内見につなげるための、物件スタッフによる準備や対話を支援する。
たとえば、室内に洗濯設備があり、ペットを飼える2ベッドルームのアパートを探している人にとって、そのメリットは具体的だ。賃貸仲介担当者は、入居希望者がすでに伝えた情報を電話の冒頭で聞き直すのではなく、希望に合う物件や設備を示しながら話を始められる。
Apartment Listの最高営業責任者であるMike Wolberは発表の中で、この連携により、入居希望者がすでに伝えた希望条件を賃貸仲介チームに直接共有し、それまでのやり取りを踏まえて会話を進められると述べた。Grottoの共同創業者兼CEOであるNick Deveauは、より広い課題として、前の段階で得た情報を引き継がないまま始まるやり取りが次々と続くことを挙げた。
初期の成約率テストで測定されたもの
米国最大級のアパート運営会社の一つ、Weidner Apartment Homesの311のコミュニティで無作為化A/Bテストを実施したところ、GrottoがApartment Listの入居希望者の希望条件を提示し、担当者がそれを活用できるよう支援した場合、問い合わせから内見への移行率が35%上昇したと両社は発表した。
発表された改善率が示すのは、内見に進んだ見込み客の割合であり、契約済みの賃貸件数や入居率が35%上昇したという意味ではない。発表資料には、個別の問い合わせ件数、テスト期間、統計上の不確実性が示されていない。そのため、この結果は、単一の運営会社で得られた、企業発表による初期段階の実績として捉えるのが妥当だ。
Apartment Listのマッチング技術が情報を提供
Apartment Listの役割は、物件情報の掲載にとどまらない。同社のマッチングシステムは、入居希望者が伝えたニーズと、入居可能な住まいの情報を照合する。また、幅広いAI製品を通じて、物件探しの全過程でのやり取りを支援している。同社によると、そのデータ基盤には、成約などの結果が判明している賃貸契約1,200万件と、入居希望者と物件との間で交わされた6,500万件の会話が含まれる。
最近のApartment Listの製品発表は、同社の取り組みの広がりを示している。Gemini Connected Appでは、入居希望者が予算、ペット、入居時期、設備などの条件を使い、掲載中の物件を会話形式で検索できる。表示価格には必須の手数料も含まれる。Grottoとの提携が解決するのは別の引き継ぎの課題、つまり、物件探しの段階で得た情報を賃貸仲介チームが活用できるようにすることだ。
技術面では、この引き継ぎを実現するために、入居希望者の条件を正しい見込み客の記録と物件の最新の募集情報に結び付ける必要がある。こうした情報のつながりを保つことは、担当者が最初から読んで解釈しなければならない、構造化されていない会話記録を渡すよりも有用になり得る。
Grottoが電話対応を支援し、内見から学ぶ仕組み
Grottoの電話対応支援製品「Call Guidance」は、リアルタイムの会話支援、検索可能な物件情報、物件の推薦を提供する。また、入居希望者の情報を自動で記録し、顧客関係管理(CRM)ソフトウェアや物件管理ソフトウェアに送信する機能も紹介している。これにより、次に対応するチームメンバーが内見に向けて準備しやすくなる。
Grottoの内見コーチングのワークフローは、事前準備から録音、内見後のフィードバック、フォローアップまでをカバーする。Grottoによると、このシステムはコーチング用の評価表や業績評価表を作成し、来訪者カードに情報を入力し、内見の情報をもとに次の対応案を作成できる。これらは製品全体が備える幅広い機能だ。今回の提携発表では、Apartment Listの希望条件を賃貸仲介のワークフローに取り込むことが特に強調されている。
これは、賃貸仲介担当者を中心に据えた、AI支援型の営業モデルだ。担当者が会話を進める間、システムが準備と案内を支援する。発表では、基盤となるモデルの提供元、連携プロトコル、希望条件を共有する仕組みの詳細な技術設計は明らかにされていない。
より途切れのない賃貸物件探し
この提携の意義は、物件探しとその後の対応を結び付けることにある。マッチングの精度が高まれば、入居希望者を条件に合う物件へ案内できる。しかし、次の会話でマッチングの根拠となった情報が失われれば、その利点は損なわれる。
こうした情報を電話でのやり取りや内見にも引き継ぐことで、Apartment ListとGrottoは、それぞれの接点が前のやり取りを踏まえたものになることを目指している。内見から契約への転換に関する初期の結果は、このアプローチの効果を測る最初の指標となる。一方、長期的な成果は、事前準備の改善によって、条件に合った物件とのマッチングや賃貸契約の成立、そして入居希望者にとってよりスムーズな体験も実現できるかどうかに左右される。












