パートナーシップ
VitVio、UCK Gdańskと提携し、3D手術室AIをポーランドに導入

VitVioは、グダニスク大学臨床センター(UCK)との提携を通じて、手術室向けAIプラットフォーム「Vetro」をポーランドに導入する。10月14日の発表によると、UCKは同社の3Dネイティブな手術室オペレーティングシステムを導入する国内初の病院となる。まず一部の手術室で運用を開始し、その後、外科部門全体への展開を予定している。
導入作業は、ポーランドの医療機器販売会社Medimと連携して進められている。このプロジェクトは、手術に伴う事務・調整業務、すなわち手技の節目の記録、遅延の特定、症例間のチームの準備支援を対象としている。提携各社は既存の手術室の稼働時間をより有効に活用できると見込んでいるが、発表ではUCKでの導入による実測結果は示されていない。
手術室の活動をワークフローデータに変える
Vetroは、複数のカメラと環境センサーをVitVioのSpatial Context Engineと組み合わせ、継続的に取得する3Dデータを手術室の幾何学的な状態を表すリアルタイムモデルへと変換する。このシステムは、活動や手技の進行状況の変化を認識し、AIエージェントが各段階を記録して業務を調整するために必要な状況情報を提供することを目的としている。
技術面での特徴は、部屋全体の空間を理解できることにある。3D空間知能の説明で、VitVioは奥行き、相対的な位置、時間の経過に伴う動きを組み合わせる仕組みを説明している。複数の視点を活用すれば、スタッフや機器が個々のカメラを遮った場合でも、視認性を保ちやすくなる。同社はまた、すべてのセンサーの視界が遮られた場合、発生した事象を復元できないことも認めており、信頼性を確保するうえで、カバー範囲とセンサーの配置が重要となる。
病院にとって有用なのは、適切なタイミングでワークフロー上のイベントを把握できることだ。症例が特定の段階に達したと認識できれば、誰かが時刻を入力したり電話をかけたりするのを待たずに、後続のチームが準備を進められる。これにより、コンピュータービジョンは、準備から回復、手術室の入れ替えまで、周術期全体にわたる業務調整に結び付く。
UCKの発表によると、Vetroのエージェントは手術の各段階を自動で記録し、遅延を検知して、症例間のスタッフ配置を調整する。器具の使用状況の追跡とリアルタイムの手術記録は、今後追加される機能として紹介されている。VitVioの製品サイトではすでに器具認識や、外科医による確認・承認を含む文書の自動生成が案内されているが、こうした機能のすべてがポーランドでの初期導入時から稼働することを意味するわけではない。
教育病院であることの意義
UCKは、グダニスク医科大学との連携を通じて、専門医療に加え、教育と研究にも取り組んでいる。同センターの病院概要によると、病床数は1,241床、職員数は4,834人であり、導入先となる施設の規模がうかがえる。一部の手術室から開始することで、提携各社は、より広く展開する前に、システムが現地の業務フローにどう適合するかを検証できる。
UCKの医療ロジスティクス担当副院長、アダム・スドウ医師は発表の中で、病院は手術チームが事務作業ではなく、患者と研修に集中できるようにしたいと述べた。また、最初に導入する手術室で得た知見を、病院の残る手術施設の運用方法に生かす考えを示した。
「Vetroの導入は、人に取って代わるのではなく、医療スタッフの日々の業務を支援する技術の一例です。」
この見解を示したのは、UCKの最高経営責任者(CEO)ヤクブ・クラシェフスキ氏だ。同氏は、この提携を、AIを活用した医療運営に対する病院の幅広い関心の一環と位置付けた。
VitVioの共同創業者兼最高執行責任者(COO)、マクス・コジャジェフスキ氏も、UCKが担う教育の役割を強調した。同氏は、回避可能な遅延や事務作業によって、本来なら臨床医や患者、そして次世代の医療スタッフのために使える時間が失われていると述べた。また、創業チームがポーランドにルーツを持つことを踏まえ、プラットフォームをポーランドに導入する意義にも言及した。
プライバシーに関する主張と導入実績
発表によると、Vetroは識別可能なデータをリアルタイムで除去し、顔や声の生体認証テンプレートを作成しない。これらはシステム設計に関する同社の説明だ。一方で、顧客との契約に基づく音声・映像コンテンツの処理について記載し、病院をデータ管理者、VitVioをデータ処理者と定める同社のプライバシーポリシーも併せて確認する必要がある。
この違いは重要だ。生体認証による識別を避けているという説明だけでは、データの取り扱い全体は明らかにならない。ポリシーによれば、音声・映像データや業務記録の処理方法には、病院の指示と契約上の取り決めが関わる。発表では、UCKにおける具体的なデータ保存期間、ホスティング環境、アクセス権限については明らかにされていない。
VitVioは、米国と英国の病院との取り組みに続き、2026年7月にVetroをより広く利用できるようにした。ポーランドでの提携により、この展開は大規模な公立教育病院にも広がる。日常的な利用を通じて、UCKが記録作成の負担、遅延、手術室の稼働率、検出された事象の信頼性を評価できるようになれば、実用上の価値がより明確になるだろう。現時点では、待機リストの短縮と時間外勤務の削減は、今回の導入で公表された成果ではなく、期待される効果にとどまっている。












