パートナーシップ
8万サンプルを対象とするUK Biobankの免疫研究にUltima UG200が採用

2026年10月19日付の発表で、Ultima Genomicsは、UK Biobank参加者の血液サンプルを初期段階で8万件対象とし、AI研究を目的とする基盤的な免疫データセットを作成する大規模な単一細胞免疫プロファイリング研究に、同社のUG200シーケンシングプラットフォームが採用されたと発表した。
研究設計と参加プラットフォーム
IMU Biosciencesは同日、ロンドンから共同研究を発表し、UK Biobank、Waters Corporation、Ultima Genomicsを共同研究先として挙げた。この研究では、IMUのHigh Definition(HD)免疫学プラットフォームと、Waters CorporationのBD FACSDiscover Cell AnalyzerおよびBD Rhapsody単一細胞マルチオミクスプラットフォームを組み合わせ、UltimaのUG200がプロジェクトのシーケンシングデータを生成する。Watersのフローサイトメトリー装置とマルチオミクス機器の使用は、2026年6月に発表されたIMUとWatersの戦略的提携の一環となる。初期コホートはUK Biobank参加者の血液サンプル8万件で構成され、将来的にはUK Biobankの参加者全体50万人に対象を拡大してプロファイリングを実施することを目指している。
研究で生成されたデータは、将来的にUK Biobankに返却され、同機関が定める既存のアクセス手続きを通じて、承認を受けた研究者が利用できるようになる。これにより、UK Biobankが50万人のボランティアについてすでに保有する、個人を特定できない形にしたゲノム、画像、臨床、生活習慣のデータに、高解像度の免疫プロファイリング情報が加わる。研究の目的は、免疫の多様性が疾患リスク、病状の進行、治療反応、長期的な健康状態とどのように関係するかを調べることだ。IMUによると、各サンプルから1億点を超える免疫データを生成する予定であり、人間の免疫系を大規模かつかつてない詳細さで捉えた全体像を作り出すことを目指している。
プラットフォームの検証とサンプル構成
採用にあたって、UltimaはUG200がBD Rhapsodyプラットフォームとの組み合わせで性能検証を受けたと説明した。また、両システムを組み合わせることで、シーケンシングを多く必要とする単一細胞マルチオミクスの用途を、集団規模で経済的に実施できるという。UG200は2026年2月、一部の早期アクセス施設向けに提供を開始し、現在は広く出荷されている。今回の採用は、UK Biobank Pharma Proteomics Projectでシーケンシング技術として採用された際の、UltimaとUK Biobankの先行する取り組みを引き継ぐものだ。同プロジェクトでは60万サンプルが対象となった。
10月19日にあわせて公開された関連記事で、IMUの共同創業者兼最高科学責任者であるAdam Laingは、プロファイリングが2026年9月に始まったと記した。初期コホートは、新鮮なサンプル4万件と、UK Biobankの凍結保存コレクションから取り出したサンプル4万件で構成される。同氏によると、このコレクションには参加者が最初に訪問した際に採取された、残りわずかな検体の一部も含まれている。IMUによれば、同社のHD免疫学プラットフォームは、血液2 mlの単一サンプルから最大2,500種類の免疫細胞サブセットを識別できる。また、そのプロセスは自動化・標準化されており、異なる時期に作成されたプロファイルを比較可能な状態に保てるという。
Waters Corporation傘下のWaters Biosciencesで上級副社長を務めるSteve Conlyは、BD FACSDiscover Cell Analyzer、BDのフローサイトメトリー試薬、BD Rhapsody装置、BD OMICS-One WTA Next AssayおよびProtein Panelsが、IMUの研究を支援すると述べた。Ultimaの発表によると、BD Biosciences事業とBD Diagnostic Solutions事業はWaters Corporationに買収された。一方、必要な規制上の移管が完了するまでは、これらの製品の法的な製造業者は引き続きBDとなる。
英国のソブリンAI助成金とデータセットの目標
IMUはプロジェクトの実施に向け、英国政府のStrategic Assetsプログラムを通じて157万ポンドのソブリンAI助成金を獲得した。Laingによると、UK Biobankの最初の1万サンプルはこの助成金で賄われ、同じ提供者から免疫情報をさらに深く捉える第2の層として、単一細胞トランスクリプトームデータも生成される。同氏は、このデータセットについて、単一のプラットフォーム、単一のプロトコル、単一のコホートを用いて構築され、英国のボランティアから英国で生成され、UK Biobankの管理下に置かれるものであり、各プロファイルがUK Biobankの保有する遺伝、画像、生活習慣、臨床データと紐づけられると説明した。
IMUによると、この研究は、患者の層別化、バイオマーカーの発見、トランスレーショナルリサーチに用いる免疫プロファイルの開発・検証能力を強化し、標的探索に向けた免疫学の新たな基盤的AIモデルの作成にも役立つという。同社は、健康なボランティア1,015人を対象とした過去のプロファイリング研究で、免疫年齢は必ずしも実年齢と一致せず、喫煙者の免疫系は実年齢よりも老化しているように見える傾向があったと報告している。
Ultimaの最高経営責任者Gilad Almogyは、UG200はこれまで不可能と考えられていた規模で生物学的な知見を引き出すために設計されたと述べ、Pharma Proteomics Projectを、同プラットフォームが大規模で詳細な特性評価を伴うバイオバンクのコホートに適していることを示す事例として挙げた。IMUの発表で紹介されたUK Biobankの主任科学者Naomi Allenは、このデータセットによって、がん、糖尿病、認知症などの疾患の将来的なリスクに、どの特定の免疫細胞の変化が関与するのかを科学者が研究できるようになると述べた。また、参加者の血液サンプルはすでに遺伝、プロテオーム、メタボロームのデータに変換されていると指摘した。
IMUによると、全データセットは将来的に新たな免疫データ層としてUK Biobankに返還され、研究者がIMUと直接やり取りすることなく、UK Biobankの標準的なアクセス手続きを通じて、承認を受けたすべての研究者が利用できるようになる。












