AIモデルとプラットフォーム
SandboxAQ、Switch AIエージェントプラットフォームに信頼性とROIの測定ツールを追加

SandboxAQは2026年10月19日、AIエージェントを導入する企業向けにSwitch AIプラットフォームを拡張すると発表し、エージェントの発見、テスト、保護を行うSwitch Trustと、各エージェントのコストと価値を追跡するSwitch ROIを導入した。
カリフォルニア州パロアルトに本社を置く同社によると、この2製品はオープンソースのSwitch Roomsを拡張するもので、利用するエージェント、モデル、プロバイダーを問わず、組織がエージェントのリスクを評価し、ビジネス価値を測定し、パフォーマンスを調整できる、ベンダーに依存しない手段として位置付けられている。発表では、エージェントを企業向けAIの第一世代と対比している。同社によれば、第一世代は主に利用者ライセンス数、使用量、トークン消費量によって評価されていた。一方、エージェントは意思決定や行動を行い、人と協働できるため、監督と説明責任に対する新たな期待が生まれるという。
Switch Roomsは、Slack、Microsoft Teams、Discordなどの職場ツールを通じて従業員とAIエージェントを結び付ける。チームは共有するコンテキスト、履歴、知識の管理権を維持しながら、選んだエージェントと作業できる。SandboxAQは2026年8月、Commons Clauseを適用したApache 2.0のオープンソース製品としてSwitchを公開した。企業はコンテキストの管理権を手放すことなく、AIエージェント、モデル、プロバイダーを選択・変更できるべきだという考えに基づいている。
Switch Trust:エージェントの発見、テスト、保護
発表によると、Switch Trustは「Discover」「Scan」「Evaluate」「Monitor」の4段階で、エージェントのセキュリティ確保とガバナンスを実現する。Switch Trustの製品ページには、開発元を問わず、あらゆるエージェントに対応すると記載されている。
Discoverの段階では、接続された環境やコードリポジトリで稼働するエージェント、モデル、ツール、MCPサーバー、依存関係を一覧化する。セキュリティチームが存在を把握していない可能性のあるエージェントも対象となる。各項目の所有者、ソース、依存関係、検出事項、深刻度を記録し、チームがエージェントの利用状況を最新の状態で把握できるようにする。
Scanの段階では、コード内とクラウド環境内のエージェントを対象に、静的解析と、誤検知を除外するAI支援型のトリアージを組み合わせて、セキュリティ上の脆弱性を調べる。深刻度スコアを付与し、対応する検出事項をOWASPのエージェント型AIセキュリティカテゴリーにマッピングして、修正方法を推奨する。
Evaluateの段階では、エージェントに直接接続し、敵対的な攻撃や機能面のテストを実施する。対象には、プロンプトインジェクション、脱獄、データ漏えい、指示への準拠が含まれる。各攻撃には合格または不合格の結果が付けられ、それらを総合して全体的な健全性スコアが算出される。チームは組み込みのテストに加えて、独自の評価も追加できる。製品ページによると、テストに不合格となったエージェントは、合格するまでリリースが保留される。
Monitorの段階では、本番環境のエージェントを保護する。チームはソフトウェア開発キットを通じてエージェントを登録し、プロンプト、応答、モデル呼び出し、レイテンシー、セッション、ポリシーに関するイベントなど、その活動を記録する。Switch Roomsで稼働するエージェントには、ガードレールポリシーが自動的に適用される。実際のやり取りでは、ポリシーがプロンプトインジェクション、秘密情報、個人を特定できる情報、有害な内容、脱獄を検出する。Trustは、安全でない挙動を遮断したり、情報を伏せたり、アラートを出したり、記録したりでき、発生した事象の証拠も保持する。製品ページによると、ガードレールは各エージェントに入力される情報と、エージェントから出力される情報を確認する。また、Switch Trustは各エージェントが何を行い、誰が承認したかを一元的に記録する。
Switch ROI:エージェントごとのコストと価値の測定
発表によると、Switch ROIはすべてのエージェントについて、コストと実現した価値を測定し、コスト削減とパフォーマンス向上に向けた具体的な推奨事項を提示する。Switch ROIの製品ページには、ベンダーを問わずあらゆるエージェントを一か所で把握し、利用者ライセンス、従量課金の請求、ベンダーごとに分散したAI支出を集約すると記載されている。
Measure機能は、個々のエージェント、セッション、処理ターンごとに支出とパフォーマンスを追跡する。予算、消費率、アラートによって、過剰支出を早期に把握できるようにする。トークン数やAPI呼び出し数といったインフラ指標を数えるのではなく、支出を、解決したチケット、迅速化したプルリクエスト、自動化したタスクなどの成果に結び付ける。
Prove機能は、各エージェントが生み出す価値をコストと照らし合わせる。Switchは人間によるベースラインを設定し、エージェントの支出を自動的に追跡して、成果1件あたりのコストや投資利益率の純額などの数値を測定する。
Optimize機能は、無駄になっている支出を見つけ、修正、振り分け変更、削減の対象を判断する。エージェントごとに推奨事項を順位付けし、月間削減額の推定範囲と確信度を示す。発表では、推奨事項が対処する問題として、不適切なモデル選定、提供されているのに使われていないツール、キャッシュせずに再送されるコンテキスト、作業を繰り返すリトライやループ、タスクに必要な長さを超える出力を挙げている。製品ページによると、推奨事項は、モデルの選択、未使用ツール、回答の長さ、キャッシュという4種類のコスト改善を対象とする。パフォーマンスの改善機能は今後提供予定とされている。また、品質チェックに合格する場合はエージェントの処理をより安価なモデルに移行しつつ、Switch Roomsのコンテキストを維持できると説明している。
Mount Sinai Westと経営陣のコメント
発表によると、Mount Sinai WestのMSW LabはSwitch Trustを活用し、医師がAIエージェントを使って臨床アプリケーションを作成できるフレームワーク「G Board」の構築に取り組んでいる。「MSW Labでは、医師がAIエージェントを使って実際の医療ソフトウェアを開発しています。そのため、エージェントが安全に動作することを証明しなければなりません」と、Mount Sinai Westの循環器科部長であり、Icahn School of Medicine at Mount Sinaiの循環器学および人工知能の准教授でもあるJeffrey Bander博士は、SandboxAQの発表で述べた。Bander氏によると、Switch AIを使えば、こうした信頼性を日々の業務に組み込むことができ、医師はAIセキュリティの専門家になるのではなく、臨床上の課題に専念できるという。
発表では、ガートナーの予測として、エージェント型AIプロジェクトの40%超が2027年末までに中止されると紹介している。Switch ROIの製品ページではこれとは別に、2026年6月24日付のKPMG Global AI Pulse調査データを引用している。このデータは2,145人の回答者を対象とし、AIから得られるリターンを確立できているリーダーは7%であり、AIコストを明確に把握しているリーダーは、そのリターンを報告する可能性が5倍高いとしている。
SandboxAQでSwitch AIのゼネラルマネージャーを務めるMohammed Aboul-Magd氏によると、同社は多くのユーザーの間で、正社員を新たに採用せずに済むと見込んでAIに支出したものの、すぐにその費用が正社員を雇うより高くなった事例を目にしてきたという。同氏は、AIを導入するだけで投資収益が得られるわけではなく、各エージェントのコストや成果、そして改善方法を把握する必要があると述べ、これこそがSwitch ROIで解決を目指す課題だと説明した。
SandboxAQのCEOであるJack Hidary氏は、企業では従業員とともに数百、場合によっては数千のAIエージェントが働くようになると述べた。資格、コスト、成果を把握せずに1,000人を採用する企業はないのだから、エージェントにも同じ規律を適用する必要があるという。また、技術の進歩に伴い、蓄積してきた知識を失うことなく、より優れたエージェントやモデルに移行できなければならないと述べた。












