パートナーシップ
Rockefeller FoundationとOpenAI Foundation、「Cities Deliver」AI助成プログラムを開始

Rockefeller FoundationとOpenAI Foundationは2026年10月14日、人工知能を通じて公共サービスの向上に取り組む団体に50万ドルから200万ドルの助成金を提供する、総額5,000万ドルのイニシアチブ「Cities Deliver: AI Solutions for Public Services」を立ち上げた。助成対象となるのは、市政府と連携して活動する団体。
世界規模で公募を行い、公衆衛生、経済的自立、環境レジリエンス、市民参加に関するプロジェクトで市政府と連携する、応募資格を満たした団体を特定し、支援する。この発表によると、助成対象プロジェクトは世界各地の都市住民最大1億人に届くことを目指す。申請受付は2026年10月14日に始まり、同年11月29日に締め切られる。
2種類の助成金と24カ月の助成期間
このイニシアチブの公募要領では、申請枠を2種類設けている。シード助成金は50万ドル以上100万ドル未満で、初めての都市での実証に進める段階にある初期構想を支援する。市のパートナーとともに構想を磨き、試作品を開発、テスト、実証するための資金を提供する。スケール助成金は100万ドルから200万ドルで、初期成果を得て、すでにある都市で実証されたソリューションを支援する。市内での拡大、または別の都市への展開に必要な資金を提供する。
助成期間はいずれも24カ月で、開始時に50%、中間時点の節目を達成したことが記録で確認された時点で残りの50%が支給される。助成金は追加資金の提供を保証するものではなく、申請者には24カ月の期間内にプロジェクトの目標を達成することが求められる。Cities Deliverは、The Rockefeller Foundationの関連組織であるRF Catalytic Capitalが運営する。
助成先には、ウェビナーやメンタリングを含む、進行役付きの相互学習コホートへの参加機会も提供される。また、対応可能な範囲で、AI製品やエンジニアリングに関する支援を随時受けられるほか、両財団が持つ市のリーダー、資金提供者、技術パートナーのネットワークを利用でき、世界規模または地域規模の会合にも招待される。
重点分野、応募資格、選考基準
公衆衛生分野の提案は、最前線の医療、疾病の監視、障害者向けサービス、食料へのアクセス、栄養を対象とする。経済的自立分野の提案は、失業者や不完全就業者を収入、スキル、給付制度につなげるもので、給付制度への加入支援、キャリア形成支援、スキルを重視した採用、雇用主のニーズに沿った訓練などが含まれる。環境レジリエンス分野の提案は、リスクにさらされている地域における公共の安全と緊急サービス、エネルギーおよび電力網のインフラ、土地管理に取り組む。市民参加分野の提案は、デジタルアクセスと接続環境、裁判所サービス、許認可および規制手続きを対象とする。投票または選挙に関するプロジェクトは対象外となる。
すべてのプロジェクトは、応募資格を満たす団体が主導し、協力に取り組む市政府のパートナーを含み、サービスが十分に行き届いていない地域、貧困地域、困窮地域、または社会福祉に資する慈善目的を持たなければならない。主導団体として応募できるのは、大学の研究室や財政的なスポンサーの支援を受ける団体を含む非営利団体と、公益法人である。営利企業が資格を得られるのは限られた場合に限られ、プロジェクトが慈善目的を持ち、企業が事業上得る利益が付随的なものにとどまる必要がある。政府機関は直接申請できず、助成対象は個人向けのフェローシップではなく団体となる。
各ソリューションには、複雑なタスクを実行するために最新のAIモデルを活用するなど、最先端AIを実質的に組み込まなければならない。また、その機能を既存の市のツールやシステムと組み合わせることもできる。申請者はニーズに最も適したAIモデルや製品を選択でき、OpenAIの技術を使用する義務も、使用が優先されることもない。
公募要領によると、対象となるのは、市政府のパートナーと、そのサービスを受ける地域社会から寄せられた信頼できるニーズに応えるプロジェクトである。また、市が優先課題として設定した重要な問題を出発点とし、最先端AIの能力をソリューションの中核に据え、公共部門の環境に技術を統合できる準備が整っていることを示す必要がある。さらに、追加資金の確保、市の実施能力、政府システムとの統合を通じて持続可能性を構築し、AIの開発と運用に責任を持って取り組み、評価、ユーザーからのフィードバック、社会的インパクトへの道筋を含む明確な学習計画を提示することが求められる。
2023年の会合から初期の都市プロジェクトへ
Cities Deliverは、The Rockefeller FoundationとOpenAIが主催した2023年の会合を基盤としている。この会合には、6大陸から40人を超える市民社会のリーダーが集まり、学術機関、慈善団体、非営利団体のパートナーも参加した。参加者は、AIを責任ある形で活用するための人材、ツール、リソースの必要性を強調した。その後、The Rockefeller Foundationは、コロンビアのカリ、南アフリカのケープタウン、ブラジルのリオデジャネイロで初期プロジェクトを支援した。
独自の発表で、OpenAI Foundationはこれらのプロジェクトについて説明した。カリでは、Dengue.AIが感染拡大を予測し、公衆衛生当局が予防策の対象を絞り込めるよう支援している。ケープタウンでは、AIを活用したメッセージングプラットフォームが、住民と地方自治体との関わりを支えている。リオでは、WhatsAppのチャットボットが洪水警報や住民からの報告を市の緊急対応システムにつないでいる。The Rockefeller Foundationは、こうした初期プロジェクトに参加した複数のパートナーに追加助成を行う予定で、その内容には、リオの洪水警報システムをより多くの住民やほかの異常気象にも対応できるよう拡充すること、Dengue.AIの感染拡大予測をカリからカルタヘナへ広げること、ケープタウンの住民エンゲージメント・プラットフォームの利用範囲を拡大することが含まれる。
「この3年間、都市のリーダーや研究者、地域のイノベーターが、現実の課題に取り組むためにAIを活用すると何が起きるのかを目の当たりにしてきました」と、The Rockefeller Foundationの会長であるラジブ・J・シャー博士は述べた。「Cities Deliverは、カリ、ケープタウン、リオなどで成果を上げている取り組みを、あらゆる機関に開放し、より多くの都市が同じようなパートナーシップの恩恵を受けられるようにします。」
OpenAI FoundationのCivil Society and Philanthropy部門責任者であるアンナ・マカンジュは、AIによって、都市と連携する組織がより迅速に住民へ働きかけ、問題をより早く予測し、公共サービスの対応力を高められると述べた。また、このパートナーシップは、AIの可能性と地域に根差した深い専門知識を結び付けるものだと語った。OpenAI Foundationは、この取り組みを自らのCivil Society and Philanthropyプログラムの一環と位置付け、小規模農家向けのPeople-First AI Fundや気象・作物病害の予測、音声と言語に関する取り組みなど、これまでの活動を発展させるものと説明した。
この発表には、初期プロジェクトの対象となった3都市の市長の声明も掲載されており、カリ市長のアレハンドロ・エデル氏は、Dengue AIツールにより、市がデング熱の流行を最大3週間前に予測できると述べた。
発表では、国連の2025年推計として、世界人口82億人の45%が都市に暮らしていると紹介し、都市政府がAIを導入する際には、導入コストの高さやデータ保護をめぐる不確実性など、大きな障壁に直面していると指摘している。
申請手続きとスケジュール
第1段階の提案書は、応募資格の審査と短い動画を含み、2026年11月29日午後11時59分(米国東部時間)までに提出する必要がある。応募者には2026年12月に、2027年1月に予定されている面接に進めるかどうかが通知される。第2段階に進めるかどうかの通知は2027年2月に行われ、第2段階の提案書の提出期限は2027年3月1日となる。応募者には2027年4月に、支援対象に選ばれたかどうかが通知される。
公募に関する質問は2026年10月31日までに提出する必要があり、応募者から寄せられた質問を踏まえて改訂したFAQは、2026年11月4日に掲載される。












