インタビュー
ジェームズ・エヴァンス、CommandBarの創設者&CEO – インタビュー・シリーズ

ジェームズ・エヴァンスは、CommandBarの創設者兼CEOです。CommandBarは、製品、マーケティング、顧客対応の各チームを支援するAIユーザー支援プラットフォームです。提供するAIコパイロットは、企業が用意したコンテンツだけに基づいて質問に回答します。答えが分からない場合は、サポートチャットの開始など、導入企業が管理できる体験へ切り替わります。
最初にコンピュータサイエンスに引かれた理由は何ですか?
もともとは数学専攻でした。特別な理由はなく、一番難しい専攻だと思ったからです。しかしプリンストン大学の数学は本当に難しく、私は抽象代数学よりコンピュータサイエンスのほうが得意でした。
この分野に残ったのは、独立研究で取り組んだように理論を深く追究できる一方、製品を作る方法も学べる、独特な分野だと感じたからです。
2019年に、コンピュータサイエンスとプログラミング教育のフィードバックツール、codePostを立ち上げました。きっかけと学んだことを教えてください。
codePostは、私と共同創業者にとって、いわば起業の練習でした。一緒に会社を始めたいと思っており、大学時代に始めたこのプロジェクトには、プリンストン大学を含め、コンピュータサイエンスの課題採点に使う利用者がすでにいました。
1年間取り組んだ後、別の活動に重点を移しました。codePostは今も存在します。https://codepost.io。素早くリリースし、質問やフィードバックへ迅速に対応することが競争上の強みになると学びました。同時に、そのやり方では製品がすぐ複雑になり、使いにくくなることも分かりました。そこで製品を学びやすく、使いやすくするため、codePostに埋め込むウィジェットとしてCommandBarの最初の形を作りました。
現在のデジタルツールに共通する問題は何でしょうか?
ソフトウェアは複雑になり、企業が多くのツールを使うため、利用者の負担が増しています。使いやすい消費者向けアプリに慣れた利用者の期待は高く、日常的なソフトウェアのために長いマニュアルを読む人はいません。
一方、ソフトウェアの見た目や操作感はあまり変わらず、主な支援手段はポップアップです。作業中に小さなメッセージが出て邪魔をします。役立つ場合もありますが、たいてい利用者はすぐ閉じようとします。
次世代の利用者中心のツールについて、ビジョンを聞かせてください。
人とコンピュータのやり取りには改善の余地があると考え、CommandBarを始めました。利用者から繰り返し聞いたのは、ポップアップが役立つどころか煩わしいという意見でした。
私たちは、利用者がソフトウェアで何を達成したいのか、その意図に注目して体験を改善します。製品内の行動から戸惑いを推測する暗黙的な方法もあれば、質問や検索に応じる明示的な方法もあります。
優れた利用者中心のツールは、意図を理解して体験を個別化し、関係のない企業側の情報を大量に押しつけません。一般的なポップアップを減らし、個々に合った案内を増やすことで、体験全体を改善します。
そのビジョンは、どのようにCommandBarの立ち上げにつながりましたか?
CommandBarは、あらゆる製品の上に支援の層を設け、AIで利用者の意図を捉えて対応する試みです。埋め込み型アシスタントは質問への回答や作業の代行を行うため、利用者は製品の仕組みを学ばなくても目的を達成できます。別の製品は、意図に合いそうな操作経路、機能、操作説明へと利用者を促します。
最初は、製品内のあらゆるものを検索できるバーという、一つのウィジェットでした。Apple (AAPL )のSpotlightのようなものです。そこから別の支援ウィジェットへ広げました。
主要製品Copilotは、ウェブサイトにチャットボットを簡単に組み込めます。裏側の仕組みを教えてください。
当初HelpHub AIとして公開した製品が、今のCopilotです。ウェブアプリ、モバイルアプリ、ウェブサイト、デスクトップアプリのどれでも、埋め込み型アシスタントを訓練し導入できる「Copilot-as-a-service」と考えられます。
最初に、ドキュメント、ブログ、ガイド、操作説明動画、APIドキュメントなど、既存の利用者支援コンテンツを取り込みます。その後学習を行い、利用者の質問に回答することと、利用者に代わって操作することの二つを支援します。
時間とともにチャット履歴や製品内の操作を分析し、好みを学びます。段階的なチュートリアルを好む人、簡潔な文章の回答を好む人、Copilotの中で直接操作を完了したい人などを見分けます。
利用者の好みに加え、導入企業の目標も考慮します。一般的な利用支援が目的の場合も、有人窓口への問い合わせ件数削減や、有料版へのアップグレード促進など、具体的な目標がある場合もあります。Copilotはそれを支援戦略に取り入れ、利用者と企業の双方に役立てます。公開から最初の数週間だけで、すでに数十万件の利用者チャットを支援しました。
今後公開する製品には何がありますか?
CommandBar Mobile Copilotを正式公開したばかりです。私たちの支援体験を、より多くの人に届ける大きなリリースです。
顧客企業の多くはモバイルを重視しています。画面が小さく、キーボードやマウスがなく、移動中で操作方法を理解する時間も限られるため、支援が特に重要です。次は、営業とカスタマーサクセスのチームが重要な見込み客や顧客向けの個別支援フローを作れる、専用モジュールを公開する予定です。
AIの次の大きな飛躍は何だと思いますか?
私の立場も影響していますが、AdeptのFuyuのように、汎用的にソフトウェアを操作するエージェントとなるモデルを特に楽しみにしています。CommandBar以外にも、面倒な作業を処理するRPA型ボットの訓練など、多くの用途があります。
利用支援の分野では、Copilotがより多くの操作を代行し、利用者が自分で操作するための説明も改善できるでしょう。Microsoft (MSFT )のClippyの再来のようなものです。
変化が加速する世界で、企業はどのように競争力を維持し、競合を上回れるでしょうか?
Microsoftのような大企業がAIの波に素早く対応する姿は刺激的です。再び速く動けることにわくわくしています。CommandBarにも、製品のAI戦略について助言を求めるFortune 500企業が多数来ています。
これは企業運営の大きな転換点だと思います。大企業も、組織全体の方向がそろえば迅速かつ効果的に動けると気づきました。
勢いを維持し発展させるには、AI戦略とその先を継続的に進化させる必要があります。AI機能をいくつか出して終わりにしてはいけません。新しい動向の先頭に立ち、実験的な取り組みを継続して公開することです。この機会を、製品の適応力に関する新しい標準ではなく、一度限りの出来事と捉えるのは大きな誤りでしょう。
インタビューにご協力いただきありがとうございました。詳しくはCommandBarをご覧ください。












